ハワイのローカルアーティスト、クリス・ゴトウ

2022.07.20

ハワイのアーティスト

知るほどに深堀りしたくなる!クリス・ゴトウの唯一無二なアートが好き

  • WRITER 松本 律子

  • INTERVIEWER 瀬川 慶

ハワイの若手アーティストの中でも、とにかく「なんだか気になる」存在の彼女。サーフアートという枠に留まらない個性的な作品で、圧倒的な存在感を見せつけてくれているのが、クリス・ゴトウです。


私が彼女に初めて会ったのは、5~6年前になるでしょうか。想像していたより小柄でキュートな女性で、勝手にちょっとびっくりしたのを覚えています。


明るくって屈託なくて、でもアートに関してはちょっととんがっていて、そして英語で一生懸命話しかけていたら「え、日本語もいけますよ!」って笑ってくれて。いろいろ衝撃的な出会いだったなあ。


今やハワイを代表するアーティストの一人として絶大な人気を誇るクリス。久しぶりに会った彼女は、新たな魅力に満ちあふれていました。2022年夏、クリス・ゴトウの今。ワイキキのクィーンカピオラニホテル内にある、グリーンルーム・ギャラリー・ハワイでのインタビューをどうぞ。

 

2022夏/クリス・ゴトウにインタビュー

お久しぶりです!お元気そうでなにより。今日はよろしくお願いします!

 

はーい、めっちゃ元気ですよ。あらたまってインタビューって、緊張しますね(笑)。よろしくお願いします!

初歩的な質問からですが…アーティスト活動を始めたのはいつ頃?

 

2014年頃ですかね。私にとって絵を描くことは、歯を磨いたりご飯を食べたりするのと同じで、ずーっと自然にやっていたことなので、「アートを職業にする」のがちょっと恥ずかしい感じもあったんです。でも、チャイナタウンにスタジオを借りて、ファーストフライデーでアートを見てもらえるようになって、徐々に評価してくれる人も増えて。そこから「アーティスト」として本格的に活動し始めました。

大きなきっかけみたいなことはあったんでしょうか?

 

ある時、すごく仲のいい友人に、ある時「僕はクリスのアートに真剣にとらえてるのに、君自身がちゃんと向き合ってないんじゃない?」と言われたことがあって。あ、そう言うこと?って思ったんですよね。私自身が、自分に対してもう少しちゃんとした姿勢で向き合わなくちゃと考えさせてくれた。そこで何かが変わったと思ってます。


以前はワイキキでボートに乗る仕事をしていて、もう真っ黒に日焼けしてたんです(笑)。でもその仕事もやめて、アーティスト一本で活動するようになったのはその一言が大きかったかもしれません。

細かい丸や線をちまちま描く、集中時間が好き

クリスの作品の特徴というと、細かい丸やラインですが…

 

そうですね。ちまちま描き続けてます(笑)。

 

もともと、1日2回は海に行くほどサーフィンしてたんです。その頃の仲間に「サーフアートを描いてみたら?」って言われて。で、最初に描いたときに海の波を“丸”で表したんですよね。それがずーーーっと続いて、今も作風として残り、クリスのシグネチャーだと言われます。細かい丸やラインをペンでひたすらに描き続ける作業自体は、以前から好きなんですよ。

どれくらい時間をかけて1つのアートを描くんですか?

 

作品によりますが、細かいものだと結構時間かかりますよ。1日10時間描くとして、4~5日かかるものもあるかな。自分の世界に没頭して、ポッドキャストを聴きながら地道にコツコツ描き続けますね。

 

あ、でもなぜか視力は落ちないんです。細かい作業をして、本や漫画も読むんだけど、今のところはありがたいことに視力2.0を保ってます(笑)。

アートが少しずつ、カラフルになってきた

すごい集中力!昔と比べて変わってきたことといえば?

 

そうですね、昔はほとんどが白黒の“色がない絵”ばかり描いていたんですが、だんだん色使いが増えてきて、最近はとてもカラフルになってきたかも。最新の展示会をしたとき、「今年の展示会は、今までで一番色があったよね」って知人に言われて気づきました。


じつは、昔は色の使い方がよくわからなくって。だからモノクロで描いていたんだけれど、どこからか自然と変化してきたんです。作品には私自身の人生も反映されているはずなので、以前は私、ちょっとダークな場所にいたのかも…なんて感じることもあります。そこから徐々にポジティブな影響を受け、いろんな人に会う機会も増えて、色彩豊かな絵が描けるようになってきたのかなって。

 

そうなんですね!色使いが苦手だった時期があるなんてちょっと意外でした。場所的に、「ハワイで描く」ということはやっぱり特別?

 

それはもう、間違いないです。ハワイの自然にインスピレーションをもらうし、ハワイの人たちに助けてもらってるからこそ描けると思ってます。日本で生まれて9歳からは海外を転々とし、ハワイには2006年に移住してきました。自分がロコガールって言えるかはわからないけど、私の作品は、ハワイという場所でしか描けないものだと感じています。

そのハワイも、パンデミックの影響を大きく受けましたよね。

 

はい。パンデミックの間はたいへんだったけど、その中でもたくさんの作品を作ることができました。ハワイの人たちにとっても助けられて感謝がいっぱいです。この数年で、ローカルの人や土地への感謝がより強まりましたね。

 

私にインスピレーションを与えてくれてるのは、地元の人であり、地元の人が支えている環境であり、ローカルの食べ物であり、海である。だから、本当に地元を大切にしなくちゃと。恩返しをしたい気持ちがとても大きくなっています。


パンデミック中に、YWCAオアフの120周年を記念した壁画(上の作品)を描かせてもらえたのも嬉しかったですね。これからも、少しでも地元に貢献できるような活動を続けられたらと思ってます。

街で自分の作品を見ると“おー、元気でやってる?”って(笑)

ハワイにはクリスの壁画がたくさんあるんですよね。クヒオ通りのスターバックスや、アラモアナのターゲット、カカアコのウォールアート、様々なレストランなどなど…。自分で見るとどんな感じですか?

 

見かけると「おおお!私が描いた絵だー!!」って、単純に嬉しくなります。そして、大事な友達が働いてるお店に会いに行ったみたいな感情になるというか。「ねえねえ、久しぶり!元気でやってる?」って、壁画に向かって手を振りたくなりますね。車で作品の前を通ると、ひとりで「やっほー」って叫んだりします(笑)。


自分の作品だから全部好きなんですが、カカアコにある顔の前に魚が泳いでる絵が特に好きかな。もともとあった作品を大きく描くというプロジェクトだったので、お魚さんが広い場所で泳げるようになって良かった~って思うし、描いているときもとっても楽しかったので。

個々の作品に込めている想いをお聞きできますか?

 

私は、1枚ずつにタイトルをばっちりつけて「この絵はこういうもの」、って決めつけたくないんです。アートは見た人が感じてくれればいいものだから。でも、本当は1枚1枚にすごい細かいバックストーリーがあるんですよ。もし、聞いてくれたら延々説明します。ギャラリーなどで、皆さんとそんな話ができる機会があると嬉しいですね。

ちなみに、描かれている女性たちはクリス自身がモデルなんですか?

 

いえいえ、私じゃないです。すべて妄想のキャラクターたち。でも、みんなそれぞれ個性や名前があったりして、愛おしい人たちです。パパイヤのお風呂に入っている女性も私じゃないんだけど、これは私の願望でもあって。見るたびに「いいなあ、この人」ってうらやましく思ってます(笑)。


虹を世界中に配っている「サチコさん」とか、虹が出るとなぜか必ずそれを遮ってしまう不思議な「ミンディさん」とか、普遍的に登場するキャラクターもいるんですよ。でも、別にそれをタイトルにはしてるわけじゃないんです。んー、隠れテーマみたいな感じですかね。

聞けば聞くほど、楽しい!最後に、最近の活動について教えてもらえますか?

 

まだ話せないプロジェクトもいくつかあるけれど、最近は自分のために描く時間を増やしたいと思ってるんです。今年に入って、必ず1日1枚、絵を描いてサインまで入れて完了させるっていうのを自分との約束として続けていて。そういう時間を大事にしてアートと向き合っていきたいですね。


自分のための作品作りと、ハワイへの恩返し。今後はそこに注力しつつ、楽しく活動していきたいなと。日本へ行く具体的な予定はないのですが、できれば日本へも行きたい!また、皆さんにお会いできるのを楽しみにがんばります。


 

インタビューを終えて、今のクリスは以前にも増して表情豊かに、そしてちょっとオトナの女性としての魅力が増したように感じました。そして、1枚1枚の作品や登場するキャラクターに込められた想いが、深すぎて興味深すぎて、時間が許せば全作品について語ってほしかったくらい!

 

上の写真は、2022年7月にノースショアで開催されたハレイワ・アートフェスティバルでの彼女のブース。2日間の開催中、多くのファンが駆けつけていましたよ。

 

日本にルーツをもちながら、ハワイを拠点に世界へ発信し続ける、クリス・ゴトウという唯一無二の存在。ジャンルレスでちょっと奇妙で、そして心地いいクリス・ワールドから、これからも目が離せません!

 

Kris Goto/クリス・ゴトウ

URL
https://www.krisgoto.com/
instagram
https://www.instagram.com/kgotoart/

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